11月新刊3点は印刷も順調に進み、10月21日(金)見本でき・27日(木)以降に取次さん納品という予定どおりになりそうです。何度かお知らせしてきましたが、「まえがき」や一部内容をお読みいただき、よりくわしく知ってもらおうと存じます。
前々回(18日)、前回(19日)にひきつづき、今回はこの本です。
●『【図解でスッキリ!】ファッション業界 知りたいことがスグわかる!』~アパレルから化粧品・雑貨・ライフスタイルまで 多様化・個性化の動きが一目で見てとれる本
松尾武幸+三田村蕗子+佐山周・著、B6判・240ページ、税込定価1470円
●はじめに~元気の出る業界、ファッション業界に不況はない~
東京の原宿、渋谷、代官山といえばヤング・ストリート・ファッションのメッカだ。ここでは、『不況』のカゲリがまったくない。ホットプレイスこそ、「109」から「裏原宿」などへと多少の移り変わりはあるものの、土日はもちろん、平日にも若い世代が大挙して押し寄せ、お目当てのショップで買い物を楽しんでいる。
人気の店がころころ変わる激しさは、若い人がファッションに寄せる情熱の表れでもある。ファッションが、若い人の生きる喜びと直結している様子が手に取るようにわかる光景だ。しかし、ファッションというものはこういう場面だけで論じられるものなのだろうか。
ファッションを単なる服飾の流行とその変化ととらえるのではなく、ライフスタイルの変化、人々の生き様の変化ととらえる立場に立つと、「109現象」「裏原宿現象」はそれはそれとして興味深いし重要である。だが、もっと広い視野で、いま、日本で起きている、日本人の様子が、いまどんな風に変わってきているのかを、消費者と業界との接点で見てみようと思い立った。
この本では、ファッションを服飾の世界のことと限定せずに、服飾もファッションの重要な一部としつつも、美容・化粧品、フード、ホームファッション、ファッショングッズにまで広げて、そのもっとも最新の動きを中心に追ってみることにした。そのことによってファッションビジネスは、単にヤングの流行に左右されるビジネスでなく、老若男女、さらに健常者と障害者を問わず、すべての人々に『生きる喜び』を与えるビジネスであることを、私たちは知ることができるだろう。
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以上の文は、この本の初版である1999年8月に書いたものだ。改訂新版に付け加えるべきは、ファッションはますます「単にヤングの流行に左右されるビジネスではなく、老若男女、さらに健常者と障害者を問わず、すべての人々に『生きる喜び』を与えるビジネス」になってきていることを強調することであろう。
従来、ファッション業界というと、その中核である繊維・アパレルから説きおこす。しかし、本書ではファッションをライフスタイル全般に及ぶものととらえ、特にファッション全体に大きなインパクトを与えているにもかかわらず十分なレポートがなされなかった「化粧品・美容」の業界から各論をはじめている。全体の章立てについては、目次をご覧いただきたい。
なお、序章は松尾武幸が担当し、第1・3・5・6章は三田村蕗子が、第2・4章は佐山周が担当した。
●もくじ
序 章 ファッション業界は「生きる喜び」そのものを創造する
第1章 化粧品・美容ビジネス
第2章 アパレルビジネス
第3章 ファッショングッズビジネス
第4章 ホームファッションビジネス
第5章 フードビジネス
第6章 ファッション業界の新しいうねり
●「第1章 化粧品・美容ビジネス」より
○アウト・オブ・ブランドの役割
◇オリジナリティで消費者にアピール
企業名だけでは通用しない、企業名を前面に出すだけではファンを獲得できない--。そんな時代を象徴するかのように、メーカーは企業名を出さずにブランドの個性だけで勝負するブランド戦略を展開している。このような企業名が出ないブランドを、業界ではアウト・オブ・ブランドと呼ぶ。
百貨店を例にあげて紹介しよう。顧客の肌質に合わせてレシピを変える「イプサ」、東洋と西洋の融合をテーマにした「アユーラ」は資生堂、人気メイクアップアーティストが開発に関与した「RMK」や「スック」は、カネボウのアウト・オブ・ブランドだ。「ポール&ジョー」「ソニアリキエル」も実はアルビオンが展開している。
これらは子会社が手掛けるブランドであり、資生堂やカネボウの名前は一見わからない。消費者が目にするのはブランド名だけだ。資生堂のブランドだから「安心できる」「魅力的」「高品質」という打ち出し方ではなく、明確なコンセプトのもとにブランドを立ち上げ、商品開発を行ない、消費者にアピールしているのである。
<中略>
大手メーカー・資生堂のブランドであるという事実は信頼感につながるというメリットはあるものの、デメリットもある。資生堂の名前が逆に消費者に先入観を与え、ブランドの個性を薄めてしまうというデメリットだ。
マスブランドではつかみきれない顧客層を獲得するために、化粧品メーカーは企業名よりもブランドの個性、オリジナリティーを強く打ち出せるアウト・オブ・ブランドを強化しているのである。
●著者紹介
松尾武幸(まつお・たけゆき)…東京・新宿生まれ。旧制名古屋大学法学部政治学科卒業。名古屋大学法学部大学院国際政治史研究室研究員。繊研新聞社編集部入社。取材記者、取材デスク、編集局長、取締役主幹。ファッション・ビジネス総合研究所開設、代表取締役。著書に『ファッション・ビジネスへの挑戦(正・続)』(繊研新聞社)、『よくわかるアパレル業界』(日本実業出版社)、『図解アパレル業界ハンドブック』(東洋経済新報社)、『ファッションビジネス用語辞典』(ファッションビジネス学会)などがある。
三田村蕗子(みたむら・ふきこ)…福岡県生まれ。ジャーナリスト。津田塾大学学芸学部卒業後、マーケティング会社、コンサルティング会社勤務を経て、現在フリーランス。流通業を中心に、ビジネス全般に関するテーマを追いかける。インターネットビジネスも主要テーマのひとつ。著書に『化粧品業界 知りたいことがスグわかる!!』『ビューティービジネス 知りたいことがスグわかる!!』(こう書房)、『ブランドビジネス』(平凡社新書)、『夢と欲望のコスメ戦争』(新潮社文庫)などがある。
佐山 周(さやま・あまね)…東京・世田谷生まれ。東京外国語大学インドシナ語学科卒業。出版社勤務などを経て、繊研新聞社編集部入社。アパレル・小売部門の取材記者、パリ、ミラノ、ロンドンのコレクション取材記者などの後、編集部デスク。同社退職後、現在はファッション・ビジネス総合研究所主幹。ファッション・ビジネス論、ファッション・マーケティングなどをおもに手がける。著書に『図解アパレル業界ハンドブック』(東洋経済新報社)、『よくわかるアパレル業界』(日本実業出版社)、『ファッションビジネス21世紀の旗手21人』(商業界)などがある。
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